European Migration LawというMoot Court(模擬裁判)の授業が終わりました!
Moot Courtは和訳すると模擬裁判だけど、日本でやった模擬裁判とはミーティングの方法も、pleadingの方法も全く違って、その違いがなかなか楽しい。
2回講義+Moot Courtっていうのを違うトピックで3セット繰り返すんですが
1回目のMoot Court 英語を理解するのに必死。ちょっと待って!
2回目 お、流れがわかる。judgeに立候補してコメントまでしちゃったり。
3回目 原告被告それぞれの主張を理解して批判的に質問できる。
っていう自分の中の進歩が見えて、それもinteractiveな授業の醍醐味かなって思います。
ミーティングの方法の違いについては、大きく分けて2つ。
ミーティングの長さと、発言の数。
日本で模擬裁判をやった時には毎日集まって何時間も一緒に調べつつ議論しつつやってたけど、
こちらのミーティングは1回。約1時間で終わります。
もちろんそれまでにcaseを読んで、資料を読んで、自分なりの論理を組み立ててくるのが前提。
productivityという面で個人的にはこちらの方法の方が好き。
でも日本での方法も、チームワークというかチームのメンバーの仲を深めるのには断然効果的だと思います。欧米の個人主義とアジアの集団行動の特徴がでてる。
あとは発言の数。
どちらが多いかって?それはご想像におまかせします。
ヒント。こちらでは、議論が終わるのを待たずに割り込んでいかない限り発言できません。
European Migration Lawを勉強してて驚くのが、casesを読んでると被告がオランダのものばかり、ということ。
それだけオランダでは今、移民に関する法律についての議論が持ち上がっているんです。
現在、オランダの人口の約20パーセントが異国の背景を持っている、つまり少なくとも片親が外国からの人間。
特にアムステルダムは世界でも有名な国際都市で、数々の国からの多くの外国人が住んでいます。
他の法制度と同じように、移民政策にもリベラルな姿勢を示していたオランダですが、その結果移民が増え、最近はその移民政策に変化が見られます。
その一つが、オランダ政府が移民に対して課しているcivic integration examination。
それがEU法の原則の一つである”非差別原則”に違反しているか否かというもの。
その試験の内容は、オランダの言語や歴史、文化にちなんだもので、文化も言語も異なる外国から来る移民がオランダ社会で快適に暮らしていくために必要なものである、というのが試験の目的。
しかし問題は、この試験の対象者が、EU加盟国、スイス、オーストラリア、カナダ、アメリカ、ニュージーランド、韓国、日本国民以外であること。
その背景には、以上の国の国民であればオランダで生活するのにそれほど問題がないので試験を受ける必要がないことがあります。
免除された人たちにとっては問題ではないんですが、対象者にとっては、試験の準備にかかる時間や費用(試験自体が350ユーロとかなり高額であることも負担。落第した場合は次の試験でさらに350ユーロが必要。)を工面することは難しい場合が多いんです。
特に対象とされている国々では平均所得も教育水準も比較的低く、彼らにとってかなりの負担であることは想像に易い。
実際の例が私がオランダで出会ったケニア人の女性。
オランダ人のパートナー(結婚ではないけど”パートナー”という制度がヨーロッパではよく見られます)がいる彼女でも、試験の準備や手続きにかなり苦労したといいます。
彼女は試験に合格して現在オランダに暮らしているんですが、彼女の友人の中には試験のせいで帰国しなければならなかった人もいると語っていました。
これが非差別原則や様々な人権法に違反するか否かは議論が分かれるところ。
私の個人的な意見としては、オランダ政府はせめて条件を引き下げるべきだって思う。
まず試験の費用。
350ユーロは対象国の大半にとってかなりの高額で、それがハードルとなっていることは、試験費用を引き上げた時点から受験者が減ったという事実から考えても明らか。
オランダ政府が表明するcivic integration examの目的は理解できるけど、オランダでの生活に慣れるのを助けるための試験というならば試験費用を高額に設定することは逆効果じゃないの?
それに、「オランダに入国する前に合格しなければならない」という条件は対象者にとって過度に厳しい。
オランダから遠く離れた文化の違う国の国民ならなおさら、彼らの母国で試験の準備をすることは難しいでしょ。
オランダに実際に行くことが文化や言語の理解の助けになることは間違いない。
そうすることで少なくとも対象者も試験を受けオランダに移住する平等な機会を得ることができる。
ただ特にinternal marketのFree movementが保証されているEU内では第三国からの移民の問題はかなりsensitiveな問題で、ここでは紹介しきれないけど、
日本のような島国で移民政策を厳しくしている国に住んでいる人にこそ、
移民問題について今一度考えてみてほしいと思います。
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