実は今、フィリピンのセブ島で1ヶ月間のインターンをしています。
1ヶ月、娘をフランスに連れて帰りたいというパパと相談し、1ヶ月預けることに決め、その間娘と離れることになり(このことについても、預けることを決めた理由など後で記事に)、その間授業もなく、さて私は何をしようとなった一ヶ月。
私にとって、きっと大変で(1ヶ月娘と離れることになるのは辛い)、でも貴重な1ヶ月。
どうやって使おうか迷っていることを大学時代の友達に相談したら、面白そうなインターンがあるよと紹介をされたのが、「セブでの美容院の立ち上げ」というなんとも私とかけ離れたインターンだった。
東京の大学時代の、東京在住の友達に、東京で会った時にたまたま紹介されたインターンだったのだが、なんと面接に来てくださいと言われた事務所は名古屋。
しかも私の名古屋の家から車で10分。
保育園に預けている朝〜夕方までは研究に使うと決めていたので、「夕方に子供を連れて伺ってもいいですか?」と、無茶なお願いをしたのに、「どうぞ」とあっさり承諾。
何者なんだと思っていると、面接の場で「私も18歳の時に子供を産んでるから」と理事長の女の方。
彼女は、子供が19歳になった今、アメリカやタイでのリーダーシップフォーラムに参加したり、フィリピンで美容院を始めたりと、自由に各地を飛び回っている。
「この歳になると、周りがみんな子育てで必死な時期でしょ。この歳の女性で海外に身軽に海外に行ける人っていないんだよね。だから全部私にまわってくるの(笑)」と語る理事長。
何か言いたかったのかというと、つまり、運命みたいなものを感じてしまったのだ。
全く私と関連性のない「フィリピン」「美容院」というインターンで、出発1週間前に現地でトラブルが起こってプランが全て変更になったにも関わらず行くことに決めたのは、もう運命を感じてしまっていたからなのかもしれない。
こちらに来て1週間。私がいる1ヶ月の間に美容院を再建しなければいけない、ということで、課題問題は山積みなのだけれど、何よりも困っているのが
面接に現れない現地人たち。
リクルートメントが一番の課題なので、求人広告を出せるだけ出して1日に何本も面接をしているわけだが、アポイントメントをとっても、半分以上が現れない。
来ないから電話をしても出ない。メールを送ってみると数時間後に電話がかかってきて「いやあ今日は体調が悪くて」。「それなら先に言わんかい」とツッコみたくなる。
アポをとったら、他の予定もそれに合わせて調整しているのだから、きちんと来てくれないと困る。
それが数日続いて、こちらでお世話になっている現地ビジネスマンに「約束してるのに面接に現れないのは困る」と愚痴をこぼした。
すると、彼が「彼らは目上の人にNoと言えないんだよ」と言った。「だから、無理な時間帯でも、面接をする人が提案した時間にはOKとしか言えないんだよ」。
それを聞いて、前にインドネシア語の先生に聞いた話を思い出した。
日本に短期研修に来たインドネシア人グループが、日本人トレイニーの授業を受け、そのトレイニーが明日の予定を決めるために「では、明日は9時にここでどうですか?」と皆に聞いたところ、異論がなかったので、「ではまた明日」と別れたのだそうだ。
それが、次の日、9時になっても、10時になっても、誰も現れない。
彼女が怒って他の先生にこのことを報告したところ、「その日は9時から他の先生の授業が入っていたんです」とのこと。
私たちの感覚なら、「それならそう言えよ」とツッコみたくなる。
しかし、彼らにとっては目上であるトレイニーの彼女に「No」と言うことが失礼でできなかったのだ。
「途上国ビジネスあるある」の1つとして片付けられる程度のことなのかもしれないが、私は、この裏に 未知の土地でビジネスをする時の一番の難しさが隠れていると思う。
異文化の土地で生活していると、日々起こる出来事の1つ1つにいわゆる「文化の違い」というやつが潜んでいると思って生活しないといけない。
外国人の友達が、土足で家に上がってきても、日本人が同じことをした時のように怒ってはいけない。
外国人の彼彼女が、何かカチンとくることを言っても、その言葉の裏になにかしらの文化の違いがあるのではないか、誤解があるのではないか、と理由を考えなければいけない。
面接に現れない日本人はまず不採用にしていいと思うが、外国ではひとクッション置いて理由を考えなければいけない。
この「ひとクッションおく」とはイコール「call your common sense into question」、つまり「自分の常識を当たり前と思わずいつも自分に疑問を投げかけること」。
これを、日々起こる無数の出来事の1つ1つに対してしていかなければいけないのだ。
それが、海外でビジネスに成功するための秘訣でもあると思う。