2016年11月29日火曜日

冬の夜と、小包

 
今朝は、私たちがオランダに来てから初めて気温が零度を下回っていた。

道路には霜が張っていた。もしかしたら、朝方に降った雪の残りだったのかも。

あっという間に冬が来て、いつの間にか日も短くなり、夕方の5時にはもう真っ暗。

日が短くなるとみんな早いうちにいそいそと帰っていくようになる(オランダで早く帰る、というのは本当に早い。みんな10時に出勤で5時にはオフィスを出ている人がほとんど・・・)

できるだけ早くお迎えに・・・と思いながらも、仕事が多いのと楽しいのとで私がオフィスを出るのは大抵6時過ぎ。そうすると帰り道はもう真っ暗。

帰り際、先週「小包が届いていたけどいなかったので、ここまで取りに来てください」というような趣旨の(もちろん手紙類はオランダ語なので、だいたい当てずっぽうで読む)手紙が届いていたのを思い出し、郵便局にとりにいく。

愛知からの小包だった。

家に帰って開けてみると、コーヒーと、あんこと、写真と、絵葉書と、手紙が入っている。

「(・・・)正解のない決断ばかりかと思います。出産経験のない私が何を言うこともできませんが、私は⚪︎⚪︎さんの決断を応援します。世界で一人は、味方がいます。忘れないでください。(・・・)オランダでもどこでも、お二人は、お二人の道を。」

はじめは私がおんぶやだっこをしながら歩き始めた道だったけれど、今では娘も立派に一人で歩き、手を繋いで、ゆっくりでも、少しづつ前に進んでいる。

たった二人だけれど、それでも二人。心細くなる時もあるけど、困った時は喜んで手を差し伸べてくれる人に囲まれている感覚もある。

しばらく会ってなくてもこうやって気にかけてくれ、こんなに離れた場所からでも支えてもらえること、改めて実感する。

http://www.nytimes.com/2013/12/01/fashion/coming-out-as-a-modern-family-modern-love.html?_r=0

英語の記事だけれど、女性の「パートナー」がいることについて12歳の息子に告白する母親の話。話自体は正直共感できるところは多くないのだけれど、最後の一文が気に入っている。「Maybe, in the end, a modern family is just a more honest family.」

前例のない、正解のない道だけれど、自分に嘘をつかずに、難しいことから逃げずに、自分が正しいと思う道を歩んでいければいい、と思う。

今日は、シナモンとナツメグを使ったパンプキンスープを作って、明日の寒さに備えよう。




2016年11月16日水曜日

この一球は絶対無二の一球なり




最近、何かとスポーツをする機会に恵まれている。


期間限定でオーストラリアから来ている研究者のJは最高のテニスパートナーだし(同じくらいのレベルのプレーヤーで、しかも場所と時間が合う人を見つけることはなかなか難しい)、

職場のランチタイムを使ってスタッフ総出の卓球トーナメントが開催されていたり

他のPhDの学生と仕事終わりにスカッシュをする機会ができたり。

本当は、その仕事終わりの1時間も惜しいくらいやることが多いのだけれど、そういうストレスフルな時期こそスポーツをたまにするのは大事だと思って機会を見つけては参加している。



どんなスポーツでもそうだと思うけれど、自由に打ち合いをしている時と、試合でプレッシャーの下プレイする時では、打て方が全く変わってくる。

どう違うかというと、プレッシャー下でプレイする方が、遥かに思い通りに打てない。

つまり、勝ち負けが決まる試合をする時は、普段のレベルにプラスして、心を平静に保つこと、余計なことに気を散らさないことが必要とされるからだ。

毎日テニスに明け暮れていた頃、コーチがこう言っていた。

「練習で10回中10回入るまでになって、初めて試合でそれが入るようになる」

その時はテニス以外は頭になかったし生活のほぼ全てをテニスに捧げられたからそういうやり方もできたししていたけれど、今の生活ではもちろんそれはできないしやるつもりもない。

でも、試合となるとやっぱり負けたくはないので、それなりに頑張るのだけれど、同レベルくらいの相手と試合をすると、最初はリードしていてあと一歩で勝ちが見えるというところで、追いつかれるという自分のパターンに気づく。


なんでなんだろう、と考えていると一つのことに気づく。

一球一球をその一球だけに集中してプレイしていれば、リードしていても追いつかれてもプレイがぶれることはないはず。

リードしたとき、追いつかれている時に、先を想像したり、点数を気にするから、打ち方が変わってしまうのだ。


この一球は絶対無二の一球なり
されば心身を挙げて一打すべし
この一球一打に技を磨き体力を鍛え
精神力を養うべきなり
この一打に今の自己を発揮すべし
これを庭球する心という


もともと福田雅之助というテニス選手が残した言葉なのだけれど、テニス選手の間では語り継がれている有名な言葉。

この言葉がすごく好きで、大切な試合の前には全文を呟いていた。試合中にもプレッシャーに負けそうになった時には、最初の一文を呪文のように唱えていた。




人生にも同じことが言えると思う。

この一日は、絶対無二の一日なり

この一日に今の自己を発揮すべし



不安なことはいっぱいあるけれど、後でも考えられることは今は忘れてもいい。

3歳7ヶ月28日目の娘と一緒に過ごせるのは、今日しかないから。3歳の娘と一緒に過ごせるのは365日しかないから。

4年間しかないPhDは、1日1日が大事だから。

いっぱいいっぱいで生きていても(もうこれは否定できない)、一日一日を丁寧に大切に生きることはできるから。